ユーザーやファンの皆さんと商品開発の顛末を共有することはフローレンス マリン X が考える優先事項の一つ。そのプロダクトがなぜ企画され、どんな意図を持って開発されたのか、原案は何なのか、これらを知ることはユーザーにとっても大きなベネフィットとなると考えるのです。
私たちはこの企画開発の現状や新しいコンセプトを継続的にシェアし続け、ユーザーやファンの皆さんからのアイディア、フィードバックを受ける機会を持ちたいと考えています。
開発案件:
次世代のインパクト・スーツ
先日、ディフェンディング・チャンプのジョンは巨大な波のエディを2位の戦績で終えた。その際に着用したのがこのプロト・タイプだった。取り外し可能なパッド類。このアップデイト版、フローレンス・モデュラー・インパクト・スーツはビル5階建てのビッグウェイブへのチャレンジを経て、最終的に製品化の承認がなされた。
Photo: Arto Saari
モデュラー・プロテクション
元々このインパクト・スーツはジョンが単にビッグウェイブでサバイブする為だけの目的ではなく、如何にそういった状況下でも質の高いサーフィンのパフォーマンができるか、その為のソリューションとしてデザインされた。我々の第一世代のインパクト・スーツの成功の後、ジョンとブランドのイノベーション&サステナビリティ担当ディレクター、ブルース・ムーアは1つの考えに辿り着いた。それはもし状況に応じてスーツの中のパッドを手で調整できれば、どうかということ。ブルースは説明を続けた「もしもっと細かく説明を要したり、わからないことがあったら言ってほしい。
インパクト・ウェットスーツはジョンが最初にリクエストしたプロジェクト群の1つで、彼は完成まで全てのプロセスに関わった。それが使われる環境を考えると、そこで素晴らしい結果を残すためには波からの防御、プロテクションという面とその中でもハイパフォーマンスなサーフィンをするという2極の両立は微妙なバランスの上にあった。全てのパネルがミリ単位で熟考され試行錯誤が繰り返された。この開発プロジェクトから我々が学んだものは、ビッグウェーブが如何にそれぞれ多様で異なるものかという点、また一方でそれぞれの波には特徴的な一連の基準も存在するということ。実際に我々はジョンのニーズを満たすために2つの異なるデザインに行き着いた。例えばワイメアやアウター・リーフの波に向けてはプロテクションに重きを置いた。パイプなどに向けたデザインではパフォーマンス性を重要視した。また我々はテスト・パイロットであるマット・ミオラやジェイミー・ミッチェルらからも多くのことを学んだ。単に波がある一連の基準を要するだけでなく、サーファーの側にもそれぞれの体型差やそのニーズには差があった。あるデザインはある人には最高だったが、別の人には同じものは必要ではなかった。
これらの学びを基に我々は日本のパートナー達と共に新しいデザインの開発に向けて乗り出した。数々のプロトタイプ・サンプルの作成の末に辿り着いたのはモデュラーの考え方だった。それは波の種類や個々のニーズに沿うように都度、パネルを調整できるというもの。全てのインパクト・パネルはパフォーマンス性能アップとフレキシビリティのために取り外しが可能、あるいはプロテクションが最重要視されるような場面ではインパクト・パネルの追加ができる。パネルは単に増減できるだけではなく、個々の体型や個人的な好みに応じて様々な場所に置くなどの調整も可能。最終的なプロトタイプは2023年のワイメア、エディ・アイカワ・インビテーショナルにおいて検証された。そこでジョンは2位の戦績を収めた。」
- ブルース・ムーア
フローレンス ヘッド オブ サステナビリティ&イノベーション