FIELD NOTES: THE COLD STUDY・冷水環境での実証研究
冷たい海でのセッションに入って約40分。長いラル(波の途切れ)が訪れ、その次の判断を迫られる瞬間がある。体は冷え、脚は重く感じ、パドルは半拍遅れる。次のセットを待つ時間は、1時間前よりもずっと遠く感じる。ほとんどのサーファーはその瞬間を直感で理解している。それを押し切るか、それとももう一本乗って上がるか。
しかし、ほとんどのサーファーがこれまで問いかけることができなかったシンプルな疑問がある。「今この瞬間、40分経過時点で、自分のウェットスーツは実際どう機能しているのか?」
ウェットスーツが存在して以来、業界の答えは常に「信じてくれ」というものだった。厚ければ暖かい。石灰岩は石油より優れている。このフリースは革新的だ。マーケティングの言葉は、常に測定より先を走ってきた。ウェットスーツについて業界が主張してきたことと、実際に海で証明できることの間にあるギャップ——その領域こそが、Standard Issue Fullsuitが設計された場所である。
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Our Research Lab
私たちは、海の中で生きるための装備を作るために存在している。この前提は重要だ。なぜなら装備とはテストされるものだからだ。装備には許容範囲があり、破綻点があり、正直なパフォーマンス曲線がある。装備はスタイリングされるものではない。設計され、使われ、壊され、そして洗練されていくものだ。
「私たちのウェットスーツプログラムでは、マーケティングやセールスではなく、データと科学に基づいて意思決定を行うことを目指しています」と、イノベーション&サステナビリティディレクターのブルース・ムーアは語る。
この言葉は一見、防御的に聞こえるかもしれない。しかしその背景を理解すると意味が変わる。ブルースはウェットスーツ業界に長く身を置き、多くのカテゴリーがラインナップではなく会議室で生まれてきたのを見てきた。より大きな主張。より派手なグラフィック。そして薄い裏付け。
だからこそ、次世代のフルスーツを設計するにあたり、私たちは異なる決断をした。マーケティングカレンダーに左右されない研究者と組み、彼らのデータに基づいて何を作るべきかを決めることにしたのだ。

Research & Development
私たちが見つけたパートナーは、ニューポートビーチ本社から海岸沿いに約1時間の場所にある、カリフォルニア州立大学サンマルコス校(CSUSM)の運動学部だった。
サーフィンは歴史的に、研究対象としては最悪だった。変動が大きく、濡れていて、予測不可能。被験者はじっとしていないし、環境も再現できない。その結果、世界で推定3700万人以上が実践しているにもかかわらず(米国だけでも200万人以上)、査読付きの科学研究は驚くほど少ない。2018年のErgonomics誌で、ウェットスーツ着用サーファーの皮膚温度分布を初めて示した論文で、ショーン・ニューカマー博士らはこう述べている。「人気の高まりにもかかわらず、レクリエーションサーフィンの生理学的側面に関する研究は極めて乏しい。」
つまり、ウェットスーツが実際に何をしているのかを真剣に研究した者はほとんどいなかった。

CSUSMはそれを変えた。そこには、サーフィンのバイオメカニクス、生理学、健康効果に特化した数少ない学術プログラムの一つを築き上げてきた教授陣がいた。測定機器も、方法論も、そして早朝6時の冷たい海に入りデータを取り続ける忍耐もあった。ただ一つ欠けていたのは、その結果を製品設計に反映させる意思を持った装備メーカーだった。
「この関係は数年前から築いてきました」とブルースは言う。「サーフィン環境において身体がどう機能するのかを理解し続けてきた。そして今は、より具体的に、ウェットスーツがその環境でどう機能するのかを学んでいます。」
ここからStandard Issue Fullsuitは始まった。
皮膚温度研究の主任研究者であるショーン・ニューカマー博士(CSUSM運動学部教授、2018年のErgonomics論文の共著者)は、このプロジェクトの範囲を明確に説明する:
「過去6か月間、私たちはFLORENCEと協力し、さまざまなウェットスーツ素材の断熱性能をフィールド環境で検証する研究を行ってきました。これらの研究は、カリフォルニア州立大学サンマルコス校の大学院生および学部生によって、南カリフォルニアのビーチで、18歳から50歳までの80名以上のサーファーを対象に実施されました。この結果により、新しいウェットスーツ設計において、素材の配置と種類を最適化し、サーフィン中の保温性を向上させることができました。」
ショーン・C・ニューカマー博士(PhD)/CSUSM運動学部 教授
80人のサーファー。6か月。実際の海。そのデータが、このスーツの背景にある。

市場にあるすべてのウェットスーツは、熱に関する仮説の集合体だ。どの部位が最も熱を失うのか。どの素材がそれを保持するのか。サーファーが柔軟性や重量、コストと引き換えに何を選ぶのか。
私たちはその仮説を測定に置き換えたかった。特に、新しいスーツの設計全体を決定づける2つの問いに対する答えを求めた:
1. バイオ由来フォームは、従来のクロロプレン・ネオプレンと同等の保温性を持つのか?もしそうなら、石油由来素材を使う性能上の理由はなくなる。
2. 高ロフトのフリース裏地は、身体のどの部位で実際に保温効果を発揮するのか?それを特定できれば、全面に配置する必要はなくなる。
どちらの問いもカタログ上では語られてきた。しかし、水中で検証されたことはなかった。
プロトコルは、CSUSMの大学院研究者と複数回のセッションを通じて洗練された。被験者にはiButton無線温度センサーが装着される。小型で防水のサーミスタであり、既存研究で検証された解剖学的ポイントに正確に配置される。
ある朝、ニューポートビーチの54thストリートで研究者が説明してくれた。「センサーはへその外側10cm、鎖骨下2cm、上腕、そして大腿外側に配置します」。これらは任意ではない。身体の異なる熱調節特性を持つ部位であり、どれか一つでも欠ければ全体像が歪む。
装着後、被験者は実際にサーフィンを行う。プールでの再現ではない。本物の海で、少なくとも1時間、パドル、待機、ライディングを行う。センサーは60秒ごとに皮膚温度を記録し、水温と気温も同時に取得する。セッション終了後、データを回収し、体感についてもヒアリングする。主観もまた重要だからだ。
素材そのものの違いを明確にするため、スーツは左右で異なる素材を使用したプロトタイプとして作られた。被験者自身がコントロールになる。CSUSMの研究者はこう言う。「ラボだけでは、日々異なる環境でサーフィンする現実には適用できない。だから現場で測る必要がある。」
フォームに関するデータ
最初の研究では、植物由来のバイオフォームと従来のクロロプレン・ネオプレンを比較した。条件は同一、1時間のサーフィンで検証。
結論は拍子抜けするほどシンプルで、だからこそ重要だ。
身体全体の平均では、両者に有意な温度差はなかった(p = 0.654)。60分間の実サーフィンにおいて、両者の温度曲線はほぼ重なった。
部位ごとに見ると、より興味深く、そして正直な結果が見えてくる。胸部ではクロロプレンがわずかに優位。一方で上腕や脚ではバイオフォームの方が有意に暖かかった。腹部は差なし。
主観評価も同様だった。「どちらが暖かいか」「どちらが快適か」「どちらが柔軟か」——いずれも大多数が「同じ」と回答した。
これはデータによる明確なゴーサインだ。よりクリーンな素材にするために保温性を犠牲にする必要はない。バイオフォームは実環境においてクロロプレンと同等に機能する。差が出た部分については、構造設計で補えばいい。
同じ素材に対する第二のテスト:保温ではなく“機械特性”
保温性能は方程式の半分に過ぎない。もう半分は、サーフィンという動作の中でフォームがどう振る舞うかだ。パドリング、ドルフィンスルー、着脱時の伸縮と復元。その繰り返しに耐えられるか。
その答えを得るため、両フォームのサンプルをCSUSMのジェフ・ネスラー博士(教育・健康・ヒューマンサービス学部 副学部長)のラボに送り、引張試験を実施した。ネスラー博士は2018年のErgonomics論文の共著者でもあり、このプログラム全体の測定基盤を構築してきた研究者の一人だ。機械特性の評価も、熱特性と同じ厳密さで行われた。
結果は明確だった:
- 破断時引張強度:バイオフォーム [3.38 MPa] / 従来フォーム [3.05 MPa]
- 破断時伸び:バイオフォーム [512%] / 従来フォーム [473%]
- 伸張範囲における剛性:両者ほぼ同等(小さな差に留まる)
エンジニアリング的な数値を言い換えると、両素材とも元の長さの約5倍まで伸びてから破断する。参考として、通常のサーフィン中のウェットスーツは約50%程度の伸びしか受けない。着脱時の負荷を考慮しても、実際の使用は破断限界の遥か手前である。
ここから2つの結論が導かれる。
第一に、バイオフォームは従来ネオプレンの“劣る代替”ではない。耐久性において重要な2つの指標(強度と伸び)で、むしろわずかに上回った。
第二に、現在の両素材は数年前の基準から大きく進化している。「数年前のサンプルよりも、はるかに柔軟で強い」とネスラー博士は語る。ベースライン自体が上がっている。
熱特性と機械特性の両データを並べると結論は明確だ。バイオフォームは、サステナビリティを装った妥協ではない。保温性は同等、機械特性は同等かそれ以上。そしてすべてが実環境で検証されている。

フリースに関するデータ
最後の研究は、より設計に直結するものだった。
高ロフトのグリッドフリース裏地とジャージー内装を、左右分割プロトタイプで比較し、1時間のサーフィンで検証した。全体としてはフリースの方が有意に暖かかった——これは従来の主張通りだ。しかし本当に価値のある発見は、「どこで効き、どこで効かないか」だった。
上腕と胸部では、フリースは明確な保温優位を示した。これらはセット間で海面に露出し、空気接触による熱損失が大きい部位である。一方で腹部と脚では有意差は見られなかった。特に脚は水中にある時間が長く、温められた水による断熱で十分だった。
主観評価も重要な示唆を与えた。多くの被験者がフリース側を「暖かい」と感じた一方で、さらに多くが非フリース側を「動きやすい」と評価した。
この2つを合わせると、設計原則が導き出される。フリースは“全面に使うもの”ではなく、“使う場所を選ぶツール”だ。全体に使えば、必要のない場所で柔軟性を犠牲にする。必要な場所にだけ使えば、保温と可動域の両方を最適化できる。
データから製品へ
これらの研究が、Standard Issue Fullsuitを形作った。
3つの変更。それぞれが仮説ではなく、CSUSMのデータに基づいている:
グリッドフリースの再配置。 全面ではなく、効果が証明された胸部と胴体に配置。脚部からは除去し、軽量化と可動性を確保。
バイオフォームの採用。 保温・耐久ともに同等以上であることが実証され、性能を犠牲にせずサステナブル素材へ移行。
首・肩周りの改良。 冷水の侵入ポイントをデータで特定し、パネル構造とクロージャーを再設計。より確実なシールを実現。
これらすべてが、データで裏付けられている。

この取り組みの本質。
私たちは、冷たい海で時間を過ごす人々には、データに裏付けられた装備が必要だと考えている。検証可能な性能。カタログではなく、査読レベルで説明できる素材選択。他のスポーツでは当たり前に存在する「製品の主張と実際の性能の一致」。それをサーフィンにも。
「個人的にも非常に重要な取り組みです。事実に基づいて意思決定をしているからです」とブルースは言う。「これまで誰もやってこなかった研究です。今までは試行錯誤だった。それを次のレベルに引き上げているのが今の取り組みです。」
これは、そのフレームワークで作られた最初のFLORENCEウェットスーツだ。これで終わりではない。CSUSMとの研究は続き、センサーはすでに再び海に戻っている。
厚いほど暖かいとは限らない。フリースが常に優れているわけではない。バイオ素材が妥協とは限らない。
問いはずっとあった。ただ、正しい相手に聞く方法を見つけただけだ。
Standard Issue Fullsuit スタンダード・イシュー・ウェットスーツ(輸入・US既製サイズ展開)は会員限定、オーダー締切は2026年4月30日、10月デリバリー予定。

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フィールドでの熱研究は、カリフォルニア州立大学サンマルコス校運動学部のショーン・C・ニューカマー博士が主導。引張試験は同大学のジェフ・ネスラー博士が実施。本プログラムは、2018年Ergonomics誌に掲載されたCorona, Simmons, Nessler, Newcomerらの研究を基盤としている。
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